ルールベース機械翻訳:初期の挑戦と限界
機械翻訳の歴史は古く、コンピュータが登場したばかりの1950年代にまで遡ります。その黎明期を支えたのが、ルールベース機械翻訳と呼ばれる手法です。
ルールベース機械翻訳は、人間が言語を理解し翻訳する過程を模倣するように設計されました。具体的には、まず文法規則や辞書情報をコンピュータに教え込みます。その上で、原文を解析し、文法規則に基づいて品詞の特定や文の構造を分析します。そして、辞書情報を使って単語や句を目的語に置き換え、文法規則に従って語順を整えることで、翻訳文を生成します。
1970年代後半までは、このルールベース機械翻訳が主流でした。しかし、言語は複雑で、文脈によって意味合いが変わったり、例外的な表現が多岐にわたるため、すべてのルールを網羅することが困難でした。そのため、必ずしも自然な翻訳ができるとは限らず、その精度が課題となっていました。