コンピュータの常識力、オントロジーとは?
私たちは日常生活の中で、「りんごは赤い」や「鳥は空を飛ぶ」といった知識を当然のこととして扱っています。しかし、これらの知識はコンピュータにとっては自明ではありません。コンピュータは人間のように五感を使い、経験を通して世界を理解するわけではないからです。彼らにとって、世界は膨大なデータの集合体であり、そのデータ一つ一つに意味を与える必要があります。
では、どのようにしてコンピュータに人間の常識を理解させることができるのでしょうか?そこで登場するのが「オントロジー」という概念です。オントロジーとは、簡単に言えば、ある特定の領域における概念とその関係を体系的に表現したものです。例えば、「りんご」という概念は「果物」という上位概念に属し、「赤い」という属性を持つ、といった関係性を定義することで、コンピュータは「りんごは赤い果物である」という知識を獲得することができます。
オントロジーを用いることで、コンピュータは人間と同じように世界を解釈し、推論することが可能になります。これは、人工知能がより人間に近い思考能力を持つために欠かせない技術と言えるでしょう。