
CRISP-DM入門:データマイニングの道筋
現代社会は、情報化社会といわれるように、膨大な量のデータに日々溢れています。このデータの洪水の中から、ビジネスや研究に役立つ価値のある情報を見つけ出す技術が、データマイニングと呼ばれ、近年注目を集めています。データマイニングは、統計学、機械学習、データベースといった様々な分野の技術を組み合わせた複合的な分野です。その分析プロセスは複雑になりがちで、効率的かつ効果的に進めるためには、明確な手順に沿って進めることが重要になります。そこで登場するのが、CRISP-DM(クロス・インダストリー・スタンダード・プロセス・フォー・データ・マイニング)と呼ばれるものです。これは、その名の通り、様々な業界におけるデータマイニングの標準的な手順を定めたものです。CRISP-DMは、以下の6つの段階から構成されています。1. 問題定義分析の目的や目標、データ分析で解決したい課題などを明確にします。2. データ理解分析に用いるデータの収集、データの内容や特徴の把握を行います。3. データ準備分析に適した形にデータを加工します。データの不足を補ったり、クリーニングを行います。4. モデリング統計や機械学習の手法を用いて、データからパターンやルールを見つけ出すモデルを構築します。5. 評価構築したモデルの性能を評価し、当初のビジネス目標に対する有効性を検証します。6. 展開評価結果に基づき、モデルを実業務に適用します。CRISP-DMは、データ分析の各段階において、具体的な作業内容や注意点、成果物などを明確化することで、分析作業の効率化、分析結果の精度向上、関係者間での認識共有などを促進します。このように、CRISP-DMはデータマイニングの成功確率を高めるための強力なフレームワークとして、様々な業界や分野で広く活用されています。