
画像認識を進化させるセマンティックセグメンテーション
近年、人工知能の進歩に伴い、画像認識技術は目覚ましい発展を遂げてきました。中でも、画像に写る物体を見つける物体検出手法は、自動運転や医療画像診断など、様々な分野で活用されています。しかし、物体検出では、物体を囲む四角い枠を特定するだけで、物体の形や輪郭までは詳しく把握することができません。そこで、より高度な画像認識技術として期待を集めているのが「意味的領域分割」です。意味的領域分割は、画像に写るそれぞれの画素(ピクセル)が、どの物体の領域に属するかを識別する技術です。例えば、道路の写真を意味的領域分割にかけることで、「道路」「歩道」「車」「人」「信号」など、ピクセル単位で分類することができます。この技術によって、従来の物体検出では難しかった、複雑な形状の物体や、重なり合った物体をより正確に認識することが可能になります。さらに、画像内の空間的な情報をより詳細に把握できるため、自動運転における周囲環境の理解や、医療画像診断における病変の正確な特定など、様々な分野への応用が期待されています。