企業を守る！事業継続計画(BCP)とは？

企業を守る！事業継続計画(BCP)とは？

事業継続計画（BCP）の目的

– 事業継続計画（BCP）の目的
事業継続計画（BCP）は、企業が地震や洪水、感染症の流行といった予期せぬ事態に直面した際に、重要な事業を継続または早期復旧させるための計画です。こうした計画は、企業が顧客や従業員、そしてこれまで築き上げてきた信頼を守り、最終的には収益を確保するために非常に重要です。

BCPは、単なる緊急対応計画とは異なります。緊急時の初動対応に焦点を当てる緊急対応計画とは異なり、BCPはより広範な状況を想定します。 BCPは、中核となる事業運営に影響を与える可能性のあるあらゆるリスクを特定し、それらのリスクが現実となった場合に企業がどのように対応し、事業を継続するかを具体的に定めます。

BCPの主な目的は、企業が危機的状況下でも重要な機能を維持し、可能な限り迅速に通常運営を再開できるようにすることです。これを実現するために、BCPでは以下のような要素が考慮されます。

* 重要な事業プロセスと、それらを支える資源（人員、情報、設備、資金など）の特定
* 各リスクに対する具体的な対応策の策定
* 事業の継続または復旧を確実にするための手順と責任の明確化
* 従業員への教育訓練の実施

BCPを適切に策定し、維持することで、企業は危機発生時の混乱を最小限に抑え、損害からの回復を早め、顧客や従業員、そして社会からの信頼を維持することができます。

想定される様々な事態

事業継続計画(BCP)においては、地震や風水害といった自然災害だけではなく、企業活動に影響を及ぼす可能性のある、あらゆる危険を想定しておく必要があります。例えば、火災やテロ攻撃といった人為的な災害、コンピュータウイルスや不正アクセスといったサイバー攻撃、新型インフルエンザといった感染症の流行、原材料の調達や製品の出荷が滞るサプライチェーンの途絶なども、企業活動に大きな影響を与える可能性があります。特に近年では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、多くの企業が事業の継続に大きな困難に直面しました。この経験からも、企業は様々な危機に対して柔軟に対応できる体制を構築しておくことの重要性を再認識しました。BCPは、このような多様なリスクに対して、企業が事前に対策を講じておくことで、被害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を可能にするための計画です。

BCP策定のステップ

事業継続計画(BCP)は、企業が自然災害や事故といった予期せぬ事態に遭遇した場合でも、重要な事業を継続または早期復旧させるための計画です。BCP策定のステップは、大きく分けて以下のようになります。

まず初めに、企業活動全体のリスク分析を行います。地震や洪水などの自然災害、火災や事故、情報漏洩やサイバー攻撃などを想定し、それぞれの発生確率や影響度を評価します。このリスク分析を通して、自社にとって特に脅威となるリスクを洗い出すことが重要です。

次に、重要な事業を特定します。企業活動全体の中で、顧客へのサービス提供や収益確保、法令遵守などの観点から、特に重要な事業を選び出します。この際、先ほどのリスク分析の結果も踏まえ、どの事業がどのリスクの影響を受けやすいかを考慮する必要があります。

重要な事業が特定できたら、それぞれの事業が中断した場合の影響度を評価します。顧客への影響、売上への影響、法令遵守への影響などを具体的に検討します。そして、事業中断からどれくらいの時間で復旧する必要があるのか、目標復旧時間(RTO Recovery Time Objective)と、いつの時点まで復旧すればいいのか、目標復旧時点(RPO Recovery Point Objective)を設定します。

最後に、これらの目標を達成するために具体的な対策を検討します。例えば、代替設備の確保、代替要員の確保、データバックアップ体制の構築、取引先との代替契約などが考えられます。これらの対策について、誰がいつどのように実行するのか、担当者や手順を明確化し、文書化することが重要です。

策定したBCPは、定期的な見直しと訓練を通して、実効性を維持していくことが重要です。企業を取り巻く状況やリスクは常に変化するため、BCPの内容も定期的に見直し、必要に応じて更新する必要があります。また、机上の計画にとどまらず、実際に訓練を実施することで、問題点の洗い出しや担当者の意識向上を図ることが重要です。

BCPの効果とメリット

事業継続計画（BCP）は、企業が自然災害や事故などの予期せぬ事態に遭遇した場合でも、重要な業務を継続または早期復旧できるようにするための計画です。BCPを策定し、適切に運用することで、企業は様々なメリットを享受できます。

まず、緊急事態発生時における最大のメリットは、混乱を最小限に抑え、冷静かつ迅速な対応をとることができる点です。想定される事態を事前に洗い出し、対応手順を明確化しておくことで、社員はパニックに陥ることなく、適切な行動をとることができます。これは、被害の拡大を防ぎ、事態の収束を早める上で非常に重要です。

また、BCPは、重要な事業の中断による損失を最小限に食い止め、早期復旧を図る上でも有効です。特に、製造業や情報通信業など、事業の継続が顧客に大きな影響を与える業種では、BCPの有無が、企業の存続を左右する可能性もあります。

さらに、BCPは、顧客や取引先からの信頼を維持し、企業価値を守ることにつながります。企業が、緊急事態においても事業を継続できる体制を整えていることは、顧客や取引先に安心感を与え、長期的な信頼関係の構築につながります。

このように、BCPは、企業が持続的な成長を遂げていく上で、もはや欠かすことのできない取り組みと言えるでしょう。

まとめ

昨今、世界情勢や自然災害など、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、予測が難しい時代となっています。このような状況下において、企業はあらゆるリスクに備えておくことが重要です。
企業が災害や緊急事態に直面した場合でも、事業を継続し、顧客や従業員を守り、そして社会からの信頼を維持していくことが、企業の存続には不可欠です。
このような事態に備えるための重要な手段となるのが、BCP(事業継続計画)です。BCPとは、企業が災害や事故などの予期せぬ事態に遭遇した場合でも、重要な事業を中断させずに継続あるいは早期復旧させるための計画のことです。
BCPを策定することで、企業は緊急事態における対応手順を明確化し、従業員への周知徹底を図ることができます。また、重要な業務やデータ、システムなどを特定し、それらを保護するための対策を講じることで、事業中断のリスクを最小限に抑えることができます。
BCPは、企業規模の大小に関わらず、すべての企業にとって重要なものです。まだBCPを策定していない企業は、早急に検討することをおすすめします。