
距離学習:データの関係性を紐解くAI技術
- 距離学習とは私たちは、りんごを見たらそれがみかんやぶどうとは違うものだと、見た目や味の特徴から瞬時に判断できます。これは、私たち人間が長年の経験から、「赤い」「甘い」「丸い」といった特徴を持つものは“りんご”というように、物事を概念的に理解しているからです。しかし、機械にとってこれらの特徴は、ただのデータの羅列でしかありません。機械は、人間のように感覚的に理解することができないため、「りんごは赤い」「みかんはオレンジ色」「ぶどうは紫色」といった情報が別々に与えられても、それらの関係性を理解することはできません。そこで登場するのが「距離学習」です。距離学習は、機械学習の一種であり、データ同士の関連性をより正確に捉えるために、データ間の距離を学習することを目的としています。例えば、りんご、みかん、ぶどうの画像データを機械に学習させるとします。この時、距離学習を用いることで、「りんご同士は近くに、みかんやぶどうは遠くに配置する」という指示を機械に与えることができます。これにより、機械はデータ間の意味的な距離を理解し、人間に近い形でデータの関係性を把握できるようになります。つまり、機械は「りんご」という概念を理解していなくても、「りんご」のデータは互いに近くに、「みかん」や「ぶどう」のデータは「りんご」のデータから離れていることを学習することで、結果的にりんごをみかんやぶどうと区別することができるようになるのです。