第三次AIブーム:人工知能の新たな夜明け
人工知能という言葉が生まれてから、その発展は幾度かの期待と失望を繰り返してきました。まるで、熱い期待と失望の波が押し寄せるように、人工知能研究は進展と停滞を繰り返してきたのです。
1950年代後半から1960年代にかけての第一次人工知能ブームでは、コンピュータによる推論や探索といった能力に注目が集まりました。人間のように考え、問題を解決する機械の実現に向けて、多くの研究者が情熱を注ぎました。しかしながら、当時の技術力では、複雑で変化に富んだ現実世界の問題を解決するには至りませんでした。コンピュータの性能は限られており、扱えるデータ量も少なかったため、人工知能は限られた範囲でのみ力を発揮するにとどまったのです。
その後、1980年代に入ると、人工知能は再び脚光を浴びることになります。これが第二次人工知能ブームです。この時代には、専門家のもつ知識をルールとしてコンピュータに教え込む「エキスパートシステム」が開発され、医療診断や金融取引といった分野で一定の成果を収めました。しかし、この技術にも限界がありました。人間の知識は複雑で、すべてをルール化することは困難だったのです。また、エキスパートシステムは新たな知識を自ら学ぶ能力に乏しく、状況の変化に対応できないという問題点も抱えていました。そして、再び人工知能は冬の時代を迎えることになります。