セマフォ:並列処理の秩序を守る
セマフォとは、複数のプログラムの一部が共通の資源にアクセスする際に、秩序と安全性を保つための仕組みです。コンピュータ上で同時に複数の処理を行う状況を想像してみてください。この時、複数の処理が同じ資源に同時にアクセスしようとすると、データの競合や誤った処理が発生する可能性があります。
セマフォは、こうした問題を防ぐために、資源へのアクセスを制御する役割を担います。例えるならば、レストランの入り口にある受付のようなものです。受付には決まった人数分の席札があり、お客さんは席札を取ることで席を確保できます。席札の数はレストランの収容人数を表しており、全ての席札がなくなると、新しいお客さんは席札を取るまで待たなければなりません。
セマフォも同様に、資源にアクセスできる数を示すカウンターのようなものを持ちます。プログラムは資源にアクセスする前に、セマフォのカウンターを確認します。もしカウンターの値が0より大きければ、プログラムはカウンターの値を1減らし、資源にアクセスします。カウンターが0の場合は、他のプログラムが資源を使用中であるため、カウンターの値が0より大きくなるまで待機します。
このように、セマフォは複数のプログラムが資源に安全にアクセスできるよう調整する役割を担っており、プログラムの同時実行における問題を防ぐための重要な仕組みと言えるでしょう。