ZigBee: センサーネットワークを支える無線通信規格
- ZigBeeの概要ZigBeeは、センサーネットワークでの利用に適した無線通信規格です。センサーネットワークとは、温度や湿度、照度などの情報を計測するセンサーデバイスを多数設置し、それぞれのデバイスから収集したデータをネットワーク経由で集約・管理するシステムです。ZigBeeは、このセンサーネットワークにおいて、各センサーデバイス間のデータ送受信を担う役割を担います。ZigBeeの最大の特徴は、低速、近距離、低消費電力という点にあります。データ通信速度は最大でも250kbpsと、Wi-Fiなどに比べて非常に低速ですが、センサーデバイスが扱うデータ量は小さいため、実用上問題ありません。また、通信距離は最大でも100m程度と短いですが、センサーネットワークは、狭い範囲に多数のデバイスを配置して運用することが多いため、こちらも問題ありません。そして、低消費電力である点は、電池駆動するセンサーデバイスにとって大きなメリットとなります。ZigBeeは、IEEE 802.15.4という規格をベースに開発されました。IEEE 802.15.4は、ZigBee以外にも、様々な無線通信規格の基礎となっており、国際的に広く普及しています。ZigBeeは、このIEEE 802.15.4の規格に、ネットワーク層やアプリケーション層などの機能を追加することで、センサーネットワークに最適な通信規格として完成しました。現在、ZigBeeは、家庭やビルディングオートメーション、産業分野など、幅広い分野で活用されています。例えば、家庭では、スマートメーターや照明、エアコンなどの家電製品をZigBeeで接続することで、家電製品の遠隔操作やエネルギー消費量の見える化を実現できます。また、ビルディングオートメーションでは、照明や空調、セキュリティシステムなどをZigBeeで統合管理することで、建物の省エネ化やセキュリティの向上を図れます。さらに、産業分野では、工場内のセンサーデバイスをZigBeeで接続することで、生産設備の監視や制御を行うなど、様々な用途で利用されています。