並行処理

その他

セマフォ:並列処理の秩序を守る

セマフォとは、複数のプログラムの一部が共通の資源にアクセスする際に、秩序と安全性を保つための仕組みです。コンピュータ上で同時に複数の処理を行う状況を想像してみてください。この時、複数の処理が同じ資源に同時にアクセスしようとすると、データの競合や誤った処理が発生する可能性があります。 セマフォは、こうした問題を防ぐために、資源へのアクセスを制御する役割を担います。例えるならば、レストランの入り口にある受付のようなものです。受付には決まった人数分の席札があり、お客さんは席札を取ることで席を確保できます。席札の数はレストランの収容人数を表しており、全ての席札がなくなると、新しいお客さんは席札を取るまで待たなければなりません。 セマフォも同様に、資源にアクセスできる数を示すカウンターのようなものを持ちます。プログラムは資源にアクセスする前に、セマフォのカウンターを確認します。もしカウンターの値が0より大きければ、プログラムはカウンターの値を1減らし、資源にアクセスします。カウンターが0の場合は、他のプログラムが資源を使用中であるため、カウンターの値が0より大きくなるまで待機します。 このように、セマフォは複数のプログラムが資源に安全にアクセスできるよう調整する役割を担っており、プログラムの同時実行における問題を防ぐための重要な仕組みと言えるでしょう。
アルゴリズム

ペトリネット入門:システムの振る舞いを視覚化

- ペトリネットとはペトリネットは、複雑なシステムの動きを視覚的に表すための数学的なモデルです。1962年にカール・アダム・ペトリによって考案されました。このモデルは、システムの状態がどのように変化していくかを分かりやすく示すことができるため、様々な分野で活用されています。ペトリネットは、主に「プレース」、「トランジション」、「アーク」の3つの要素で構成されています。プレースはシステムの状態を表す円で、トランジションは状態の変化を表す四角形で表現されます。そして、アークはプレースとトランジションを結ぶ矢印で、状態の変化に伴う流れを示します。例えば、製造ラインを例に考えてみましょう。この場合、各工程の状態がプレースに該当し、「部品の到着」や「加工開始」といったイベントがトランジションに該当します。そして、部品や製品の流れがアークで表現されます。ペトリネットを用いることで、システムの挙動を視覚的に把握できるだけでなく、システムの分析や設計にも役立てることができます。例えば、システムのデッドロック(行き詰まり状態)やボトルネック(処理の遅延が発生しやすい箇所)を事前に発見することができます。さらに、ペトリネットは、コンピュータシステム、ビジネスプロセス、交通システムなど、様々な分野に応用されています。システムの複雑化が進む現代において、ペトリネットは、システムの設計や分析のための強力なツールとして、その重要性を増しています。