Grad-CAM:AIの判断を可視化する技術
人間が目で見て物事を判断するように、人工知能にも画像を理解させる技術が進歩しています。それが「画像認識」と呼ばれる技術です。人工知能は、大量の画像データから特徴を学習し、写真に写っているものが「犬」なのか「猫」なのかを判別できるようになります。しかし、従来の人工知能は、膨大なデータの中からどのようにして答えを導き出したのか、その根拠を人間が理解することは困難でした。これはまるで、経験豊富な専門家が何も言わずに結論だけを述べるようなもので、何故そう判断したのかが分かりませんでした。そこで登場したのが「Grad-CAM」という技術です。Grad-CAMは、人工知能が画像のどの部分に着目して判断を下したのかを、人間が理解できる形で可視化します。 例えば、人工知能が一枚の写真を見て「これは犬です」と判断した場合、Grad-CAMを用いることで、人工知能が「犬の顔」の部分に注目して判断したことが分かります。従来の人工知能が「ブラックボックス」と呼ばれ、その内部の仕組みが分かりにくいとされていたのに対し、Grad-CAMは内部の判断過程を明らかにすることで、人工知能の信頼性を高める鍵として期待されています。