データ保護

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バックアップの時間短縮:差分バックアップ方式とは

現代社会において、データは企業にとって最も重要な資産の一つと言えるでしょう。顧客情報、販売記録、設計図面など、データの種類は多岐にわたりますが、これらを失うことは、事業の停止や顧客の信頼喪失に繋がりかねません。 データ消失の原因は様々です。コンピューターシステムの故障や停電といった物理的な問題、うっかりファイルを削除してしまうといった人的ミス、近年増加しているランサムウェアによるサイバー攻撃など、企業は常にデータ消失のリスクに晒されています。 このような事態に備え、重要な役割を担うのがデータのバックアップです。バックアップとは、重要なデータを別の場所に複製しておくことで、万一データが消失した場合でも復元できるようにする対策です。 バックアップには、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップといった種類が存在しますが、今回は「差分バックアップ方式」に焦点を当てて解説します。 差分バックアップ方式は、前回のバックアップ(フルバックアップもしくは差分バックアップ)以降に変更があったデータのみをバックアップする方法です。フルバックアップと比較して、バックアップに必要な容量や時間が少なく済むというメリットがあります。 例えば、毎週日曜日にフルバックアップを行い、月曜日から土曜日までは毎日、差分バックアップを行うとします。この場合、火曜日にデータが消失した場合でも、日曜日のフルバックアップと月曜日の差分バックアップから、火曜日の朝までの状態にデータを復元することができます。
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データセキュリティ: 顧客情報保護の重要性

現代社会において、企業が事業を成功させるためには、顧客との信頼関係を築き上げることが不可欠です。そして、その信頼の基盤となるのが、顧客から預かった情報の保護です。顧客は、企業に対して、自身の名前や住所、電話番号、さらにはクレジットカード情報など、非常に重要な個人情報を提供しています。企業は、顧客から預かったこれらの情報を適切に取り扱い、漏洩や不正アクセスから守る必要があります。 近年、情報技術の進歩は目覚ましく、インターネットやスマートフォンが普及したことで、企業は、より多くの顧客情報にアクセスできるようになりました。しかし、その一方で、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクも高まっており、企業は、これらの脅威から顧客情報を守るために、より高度なセキュリティ対策を講じることが求められています。具体的には、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、アクセス権限の設定など、様々な対策を組み合わせることで、顧客情報の安全性を確保する必要があります。 顧客情報の保護は、単に法令遵守という観点だけでなく、企業の社会的責任という観点からも非常に重要です。顧客情報の漏洩は、顧客に金銭的な損害を与えるだけでなく、企業の信用を著しく失墜させ、その後の事業活動に大きな影響を与える可能性があります。顧客の信頼を失うことは、企業にとって取り返しのつかない損失につながりかねません。そのため、企業は、顧客情報保護を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、全社員が一丸となって、その重要性を認識し、適切な対策を実施していく必要があります。
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生成AIとプライバシー:個人情報保護の重要性

- プライバシーとはプライバシーとは、私たち一人ひとりに関わる情報、すなわち個人情報が適切に守られることを指します。許可なく情報が集められたり、不適切な方法で使われたりすることは許されません。これは、私たちが安心して暮らせるために、そして自由に活動するために欠かせない権利です。個人情報には、氏名や住所、電話番号のように、すぐに誰のことかわかるものだけではありません。インターネット上での行動履歴や位置情報なども含まれます。こうした情報は、個人の行動パターンや好みを推測するために利用される可能性があり、慎重な取り扱いが必要です。プライバシーが守られることで、私たちは自分らしく生きることができます。自分の考えや行動を誰かに監視されていると感じる必要はなく、自由に表現したり、行動したりすることができます。これは、個人の尊厳を守ることにもつながります。現代社会では、インターネットや情報技術の進化によって、個人情報の重要性はますます高まっています。私たち一人ひとりがプライバシーについて理解を深め、自分自身の情報がどのように扱われているのかに関心を持つことが重要です。
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プライバシー・バイ・デザイン:設計段階からのプライバシー保護

- プライバシー・バイ・デザインとは「プライバシー・バイ・デザイン」とは、新しいシステムやサービスを生み出すとき、設計の段階からプライバシー保護を念頭に置き、その仕組みを組み込んでいく考え方です。これは、1990年代にカナダ・オンタリオ州の情報・プライバシーコミッショナーを務めていたアン・カヴォーキアン博士によって提唱されました。従来のやり方では、システムやサービスを開発した後で、プライバシーに関する問題点が見つかってから対処することが一般的でした。しかし、プライバシー・バイ・デザインでは、開発の最初からプライバシーを考慮することで、より効果的で、かつ、あらゆる側面を網羅したプライバシー保護を目指します。たとえば、新しいアプリを開発する場合を考えてみましょう。従来のやり方では、開発が完了した後に、個人情報の収集や利用に関する同意を求める画面を追加するだけかもしれません。しかし、プライバシー・バイ・デザインに基づけば、アプリの設計段階から、どのような個人情報を収集する必要があるのか、収集した情報はどのように利用するのか、どのように保管するのか、といったことを検討します。そして、利用者のプライバシーを最大限に尊重する形で、アプリの機能やデザインを決定していくのです。プライバシー・バイ・デザインは、個人情報の保護がますます重要視される現代社会において、システムやサービスを提供する企業にとって、不可欠な考え方になりつつあります。
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データ保護:著作権と不正競争防止の観点

現代社会において、企業活動はデータを抜きにしては考えられなくなりました。顧客情報や営業秘密、技術情報といった企業にとって重要な情報資産は、データという形で存在しています。これらのデータは、企業の競争力を左右する重要な要素であり、適切に保護することは企業の責任としてますます重要性を増しています。 しかしながら、データ保護の重要性は広く認識されている一方で、具体的な対策となると、その複雑さゆえに困難を感じている企業も多いのではないでしょうか。データ保護の枠組みは、法律、技術、組織文化など多岐にわたる要素が複雑に絡み合っているため、どこから手をつければ良いか迷ってしまうのも無理はありません。 そこで今回は、数あるデータ保護の法的側面の中から、特に重要な二つの法律に焦点を当てて解説します。一つ目は、アイデアや表現など無形の創造物を保護する著作権法です。二つ目は、営業秘密など、不正な競争行為から企業の貴重な情報を守るための不正競争防止法です。これら二つの法律は、それぞれ異なる保護の対象と目的を持っています。それぞれの法律におけるデータ保護の考え方を知ることで、自社のデータ資産をより的確に保護するための第一歩を踏み出せるはずです。
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ビジネスの加速剤?十分性認定を理解する

- 十分性認定とは 「十分性認定」とは、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」という法律に基づいた制度です。この制度は、EU域外の国や地域における個人情報の保護水準が、EUと同等のレベルであると欧州委員会が認めるものです。 GDPRは、個人情報の扱いについて厳しいルールを定めています。これは、EU域内の人々のプライバシーをしっかりと守るためです。しかし、世界中にはGDPRのように厳しいルールがない国や地域も存在します。そこで、EU域外の国や地域が、EUと同等のレベルで個人情報を保護していると認められる場合に、「十分性認定」が与えられます。 もしも、ある国や地域がEUから十分性認定を受けると、EU域内からその国や地域へ、個人データを自由に移動させることができるようになります。これは、企業にとっては、国境を越えたビジネスを円滑に進める上で、とても重要な意味を持ちます。 逆に、十分性認定を受けていない国や地域に個人データを移転する場合には、GDPRの厳しいルールに従って、特別な手続きが必要になります。このように、十分性認定は、EU域内と域外の個人データのやり取りにおいて、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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GDPR入門:個人情報保護の基礎知識

- GDPRとは GDPRは、「General Data Protection Regulation」の略称で、日本語では「一般データ保護規則」といいます。これは、2018年5月からヨーロッパ連合(EU)で施行された、個人情報の取り扱いに関する法律です。 GDPRは、EU圏内に住む人の個人情報を扱うすべての企業や組織に対して、その個人情報の取得、利用、保管、削除などに関して、厳格なルールを定めています。これは、EU圏内の企業だけでなく、EU圏外でもEU圏内の人の個人情報を扱う企業も対象となります。 GDPRの大きな目的は、個人が自身の個人情報に対してより強い権利を持つようにすることです。具体的には、自分がどのような個人情報を、誰に、どのような目的で利用されているのかを知る権利、自身の個人情報の利用を制限する権利、自身の個人情報を削除するように要求する権利などが保障されています。 GDPRを遵守しない場合、企業は高額な制裁金を科せられる可能性があります。そのため、EU圏内で事業を行う、あるいはEU圏内の人の個人情報を扱う企業は、GDPRの内容を理解し、適切な対応を行うことが重要です。
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事業の鍵となる「限定提供データ」とは

今日では、多くの企業が提携して事業を行うことが増え、企業同士が情報を共有する機会も多くなっています。しかし、共同で利用するデータが増える一方で、守るべき企業秘密をどのように守るのかという課題も浮上しています。 かつては、企業秘密といえば、社外秘の書類や顧客情報などをイメージすることが一般的でした。しかし、企業間の共同研究や複数の企業が参加する事業を行う場合、データを共有する機会が増え、従来の考え方では対応しきれなくなってきています。 例えば、共同研究において画期的な技術を生み出すために、複数の企業がそれぞれのデータを出し合って分析する場合を考えてみましょう。この時、各企業のデータは、単独では決して公開されることのない貴重な情報です。しかし、共同研究というオープンな環境下では、データが外部に漏洩してしまうリスクは高まります。 また、仮に厳重なセキュリティ対策を施してデータの漏洩を防いだとしても、共同研究の成果として発表される情報の中に、間接的に企業秘密に関わる内容が含まれてしまう可能性も否定できません。このように、共同で利用されるデータは、従来の企業秘密の保護の枠組みでは十分に対応できない側面があり、新たな対策が求められています。
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オープンデータとは?不正競争防止法との関係

- 企業秘密と不正競争防止法現代社会において、企業が競争を勝ち抜き、成長していくためには、他社にはない独自の強みを持つことが必要不可欠です。その強みの源泉となるのが、企業秘密と呼ばれる重要な情報資産です。企業秘密には、長年の研究開発によって生み出された画期的な技術や、顧客との信頼関係によって築かれた貴重な顧客リスト、独自のノウハウなどが含まれます。これらの情報は、容易に模倣できないこと、公になっていないこと、そして企業が厳重な管理体制を敷いていることなどが条件となり、不正競争防止法という法律によって「営業秘密」として保護されます。不正競争防止法は、正当な手段によらずに企業秘密を取得・利用する行為を禁じることで、企業の正当な経済活動を保護し、公正な競争環境を維持することを目的としています。具体的には、盗難や詐欺などの不正な手段によって企業秘密を盗み出す行為はもちろんのこと、元従業員が以前の職場で得た企業秘密を、転職先の企業で不正に利用することも禁じられています。もし、これらの行為が認められれば、損害賠償請求や刑事罰の対象となる可能性もあります。ただし、すべての情報が企業秘密として保護されるわけではありません。例えば、既に公になっている情報や、誰でも容易に取得できる情報は、企業秘密として認められません。また、従業員が自らの能力や経験によって習得した技術や知識は、企業秘密には該当しません。不正競争防止法は、あくまでも企業の努力によって生み出され、競争優位性を生み出す源泉となる情報を保護するための法律なのです。
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設計段階からのプライバシー保護

- プライバシー・バイ・デザインとは近年、個人情報の重要性に対する認識が高まり、企業や組織が個人情報をどのように扱い、保護するかが問われています。こうした中で注目されているのが「プライバシー・バイ・デザイン」という考え方です。プライバシー・バイ・デザインとは、システムやサービスを開発する最初の段階から、利用者のプライバシー保護を徹底的に考慮し、設計に組み込むという考え方です。1990年代にカナダの情報・プライバシーコミッショナーであったアン・カボーキアン氏によって提唱されました。従来のプライバシー保護の取り組みは、開発の後付けでプライバシーに関する機能を追加することが多く、結果として不十分な対策となるケースも見られました。しかし、プライバシー・バイ・デザインでは、最初からプライバシー保護を前提とすることで、より効果的に利用者の権利を守ることができます。具体的には、個人情報の収集を必要最小限に抑えたり、収集した情報を適切に匿名化したりするなどの対策が考えられます。また、利用者に対して、自身の情報がどのように利用されているかを分かりやすく開示することも重要です。プライバシー・バイ・デザインは、個人情報の保護だけでなく、企業にとってもメリットがあります。信頼できる企業として認識され、利用者の安心感を得ることで、企業価値の向上にもつながると期待されています。
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GDPR: 個人情報保護の要!

- GDPRとはGDPRは、「General Data Protection Regulation」の略称で、日本語では「一般データ保護規則」と訳されます。これは、2018年5月から欧州連合(EU)で施行された、個人情報保護に関する法律です。従来の法律と比べ、GDPRは適用範囲が広く、EU域内に居住する人のデータだけでなく、EU域外からEU域内の人のデータを扱う企業や団体にも適用されます。これは、インターネットの普及により、国境を越えたデータのやり取りが増加していることを踏まえたものです。GDPRでは、個人情報の収集、利用、保存などあらゆる段階において、厳しいルールが定められています。例えば、企業は個人情報を収集する際、利用目的を明確に示し、本人の同意を得る必要があります。また、個人データの処理を外部に委託する場合には、委託先が適切な安全管理措置を講じているかを確認する義務が企業には課せられます。GDPRの大きな特徴の一つに、「データ主体の権利」の強化が挙げられます。データ主体とは、個人情報によって識別される個人のことを指し、GDPRでは、データ主体が自身の個人情報について、アクセス、訂正、削除などを請求できる権利を保障しています。GDPRに違反した場合、企業は高額な制裁金を科される可能性があります。そのため、EU域内で事業を展開する企業だけでなく、EU域外の企業もGDPRへの対応が求められています。
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ビジネスの鍵!知っておきたい「十分性認定」

近年、世界中で個人情報の重要性が高まっており、その保護は国際社会共通の課題として認識されています。特に、インターネットやデジタル技術の発展に伴い、国境を越えた個人情報のやり取りが活発化しており、国際的な基準に基づいた保護の枠組み作りが急務となっています。 そうした国際的な流れの中で、欧州連合(EU)が制定した一般データ保護規則(GDPR)は、個人情報保護の新たな国際基準として注目されています。GDPRは、2018年5月に施行された、EU域内における個人情報の取り扱いに関する包括的なルールです。GDPRの特徴は、その適用範囲の広さにあります。EU域内に拠点を置く企業だけでなく、EU域外に拠点を置く企業であっても、EU域内の個人の個人情報を扱う場合には、GDPRのルールに従う必要があります。 GDPRは、個人情報の利用目的を明確化し、その目的の範囲内でのみ利用することを義務付けています。また、個人情報の収集に際しては、本人の明確な同意を得ることを原則としています。さらに、個人情報への不正アクセスや漏洩を防ぐための適切な安全対策を講じることや、個人情報の処理に関する記録を一定期間保存することも義務付けられています。 GDPRの施行は、国際社会に大きな影響を与えており、日本を含む多くの国で個人情報保護法の改正や新たな法律の制定が検討されています。個人情報の保護は、個人の権利を守るだけでなく、企業の信頼性や国際的な競争力を維持するためにも重要です。国際的な基準を踏まえ、個人情報の適切な取り扱いを推進していくことが求められています。
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ビジネスの秘匿情報:限定提供データとは?

現代社会では、企業間の連携強化やデータ共有の進展に伴い、企業活動において重要な役割を果たすビジネス情報の保護が喫緊の課題となっています。特に、複数の企業が共同で事業を行うコンソーシアムのような形態では、参加企業間での円滑な情報共有と、各企業の重要な秘密情報の保護との両立が求められます。 これまで、企業秘密の保護は、主に不正競争防止法上の「営業秘密」という概念に基づいて行われてきました。しかし、コンソーシアムのような複数の企業が関与する場面では、共有される情報が、特定の企業だけの秘密情報として明確に区分できないケースも少なくありません。このような場合、「営業秘密」としての要件を満たすことが難しく、十分な法的保護を受けられない可能性も出てきます。 このような課題に対して、近年注目されているのが、不正競争防止法で定められた「限定提供データ」という枠組みです。これは、営業秘密には該当しない場合でも、一定の条件を満たせば、不正な取得や利用から保護されるというものです。具体的には、提供の際に秘密であることが明確に示され、かつ、客観的に見て秘密として管理されているなどの条件を満たす必要があります。 コンソーシアムにおける情報管理においては、従来の「営業秘密」の考え方にとらわれず、「限定提供データ」という枠組みも活用することで、より適切な保護が可能になる可能性があります。共同で事業を行う際には、参加企業間で、秘密情報の範囲や管理方法について、事前に明確な合意を形成しておくことが重要です。