バックアップの時間短縮:差分バックアップ方式とは
現代社会において、データは企業にとって最も重要な資産の一つと言えるでしょう。顧客情報、販売記録、設計図面など、データの種類は多岐にわたりますが、これらを失うことは、事業の停止や顧客の信頼喪失に繋がりかねません。
データ消失の原因は様々です。コンピューターシステムの故障や停電といった物理的な問題、うっかりファイルを削除してしまうといった人的ミス、近年増加しているランサムウェアによるサイバー攻撃など、企業は常にデータ消失のリスクに晒されています。
このような事態に備え、重要な役割を担うのがデータのバックアップです。バックアップとは、重要なデータを別の場所に複製しておくことで、万一データが消失した場合でも復元できるようにする対策です。
バックアップには、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップといった種類が存在しますが、今回は「差分バックアップ方式」に焦点を当てて解説します。
差分バックアップ方式は、前回のバックアップ(フルバックアップもしくは差分バックアップ)以降に変更があったデータのみをバックアップする方法です。フルバックアップと比較して、バックアップに必要な容量や時間が少なく済むというメリットがあります。
例えば、毎週日曜日にフルバックアップを行い、月曜日から土曜日までは毎日、差分バックアップを行うとします。この場合、火曜日にデータが消失した場合でも、日曜日のフルバックアップと月曜日の差分バックアップから、火曜日の朝までの状態にデータを復元することができます。