PM理論：リーダーシップの二つの側面

PM理論：リーダーシップの二つの側面

PM理論とは

– PM理論とはPM理論は、組織や集団を率いるリーダーの行動を分析し、効果的なリーダーシップを理解するための枠組みです。この理論では、リーダーシップのスタイルを「目標達成」と「集団維持」という二つの軸で捉えます。「目標達成」は、リーダーが組織やチームの目標を達成するために、計画を立て、指示を出し、進捗を管理する行動を指します。具体的には、仕事の役割分担を明確化したり、達成目標を具体的に設定したり、業務の進捗状況を細かく確認したりといった行動が挙げられます。一方、「集団維持」は、リーダーがチームメンバー間の良好な関係を築き、働きやすい雰囲気を作り出す行動を指します。例えば、メンバーの意見に耳を傾け、互いに協力し合える環境を作ったり、メンバー一人ひとりの意見を尊重し、認め合える雰囲気作りをしたりといった行動が考えられます。PM理論は、どちらか一方の軸に偏るのではなく、「目標達成」と「集団維持」のバランスをうまくとることが、効果的なリーダーシップには重要であると説いています。組織やチームの状況、メンバーの成熟度などに合わせて、どちらの行動を重視するべきかを判断し、柔軟に対応していくことが求められます。

目標達成行動

「目標達成行動」とは、組織やチームが掲げた目標を達成するために、リーダーが率先して取るべき行動全般を指します。リーダーは、メンバー全員が共通認識を持ち、迷うことなく行動できるように、具体的な指示や指針を示すことが求められます。

まず、目標達成行動の第一歩は、取り組むべき課題や業務を具体的に明確化することです。次に、目標達成までの道筋を明確にする計画を立て、メンバー全員で共有します。計画には、誰が、いつまでに、何をするのか、具体的な行動指針とスケジュールを盛り込むことが重要です。

リーダーは、計画に沿って業務が進んでいるか、定期的に進捗状況を確認し、必要があれば軌道修正を行うなど、柔軟に対応する必要があります。そして、最終的に目標が達成できたかどうか、成果を客観的に評価します。

このように、目標達成行動は、指示を出す、計画を立てる、進捗を管理する、成果を評価するという一連の流れを指します。リーダーが率先してこれらの行動を実践することで、組織全体のパフォーマンス向上に繋がり、目標達成に大きく貢献します。

集団維持行動

– 集団維持行動

集団維持行動とは、チームやグループが円滑に活動し、その結束力を高めるためにメンバーが意識的に行う行動のことを指します。これは、単に業務をこなすだけでなく、メンバー間の良好な人間関係を築き、維持することに重点が置かれます。

具体的には、以下のような行動が挙げられます。

* メンバーに対する配慮相手の状況や気持ちを理解しようと努め、困っている人がいれば積極的にサポートする。
* コミュニケーションの促進日頃からメンバー間の情報共有や意見交換を活発に行い、誤解や行き違いを防ぐ。
* 意見の尊重たとえ自分と異なる意見であっても、頭ごなしに否定するのではなく、まずは耳を傾け、その意見の背景や意図を理解しようと努める。
* 対立の解決意見の対立が生じた場合は、感情的になるのではなく、建設的な話し合いを通して、互いに納得できる解決策を見出す。

リーダーは、このような集団維持行動を積極的に実践することで、メンバー一人ひとりのモチベーションを高め、チーム全体を目標達成へと導く役割を担います。具体的には、メンバーの意見にしっかりと耳を傾け、互いに協力し合える雰囲気作りをすることが重要です。

集団維持行動は、チームの成果を向上させるだけでなく、メンバーの満足度や帰属意識を高める上でも非常に重要です。

効果的なリーダーシップのバランス

効果的なリーダーシップを発揮するには、目標を達成するためにチームを導く行動と、チームの結束力を高め、良好な人間関係を築く行動の両方が欠かせません。PM理論では、この二つをそれぞれ目標達成行動と集団維持行動と呼び、優れたリーダーになるためにはこれらの行動のバランスを取ることが重要であると説いています。

目標達成に偏ったリーダーシップでは、メンバーに過度なプレッシャーを与え、疲弊させてしまう可能性があります。また、チームワークやコミュニケーションがお二の次になりがちで、結果的に組織全体の成果を低下させる可能性も孕んでいます。

反対に、集団維持に偏ったリーダーシップでは、目標達成への意識が希薄になり、組織全体の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。締めるところは締め、時に厳しい決断を下さなければならない場面でも、メンバーとの調和を重視するあまり、リーダーとしての役割を果たせないという事態も考えられます。

効果的なリーダーとなるためには、置かれている状況やチームメンバーの個性を見極め、目標達成行動と集団維持行動を適切に使い分ける柔軟性が求められます。

PM理論の実践

– PM理論の実践リーダーとして成果を上げるためには、チームを率いて目標達成に向けて邁進するだけでなく、チームメンバー同士の関係性を良好に保ち、チーム全体の士気を高めることも重要です。この目標達成と集団維持、二つの要素のバランスをどのように取っていくべきか、それを具体的に示したものがPM理論です。PM理論を実践していく上で最も大切な第一歩は、自分自身の行動を客観的に振り返り、どちらの要素に偏っているのかを把握することです。例えば、あなたは日頃から目標達成を強く意識し、計画通りに物事を進めることに長けているかもしれません。しかし、一方で、メンバーへの配慮やコミュニケーションが不足し、チームの雰囲気が悪くなってしまう、といった経験はないでしょうか。自身の行動傾向を把握したら、目標達成と集団維持、両方のバランスを意識した具体的な行動計画を立てましょう。計画を立てる際には、それぞれの要素を具体的な行動に落とし込むことが重要です。例えば、目標達成を重視する行動としては、定期的な進捗確認会議の実施や、個別の業務進捗管理などが挙げられます。一方、集団維持を重視する行動としては、メンバーの意見交換の場を定期的に設けたり、日頃から労いの言葉を積極的にかける、といったことが考えられます。重要なのは、どちらか一方に偏ることなく、状況に応じてバランスを取りながら行動することです。PM理論を実践し、目標達成と集団維持の両立を実現することで、より強固なチーム作り、そして、リーダーとしての更なる成長へと繋がるでしょう。