外れ値に強い?トリム平均を解説
AIを知りたい
先生、「トリム平均」ってなんですか?AIのニュースで出てきたんですけど、よく分からなくて。
AIの研究家
「トリム平均」は、飛び抜けた値の影響を受けにくい平均の求め方だよ。例えば、フィギュアスケートの採点で、最高点と最低点を除いて平均を出すのと同じような考え方だね。
AIを知りたい
なるほど!でも、なんで飛び抜けた値を除く必要があるんですか?
AIの研究家
それは、AIの学習に使うデータに、たまにすごく変な値が混ざっていることがあるからなんだ。その変な値の影響を減らして、より正確な結果を得るために「トリム平均」を使うんだ。
トリム平均とは。
「トリム平均」っていうAI用語があるんだけど、これは数学とか統計学、機械学習で使われる方法で、簡単に言うと、データの両端をちょっと切り捨てて、残ったデータだけで平均値を計算することなんだ。ちなみに、普通の平均値っていうのは、全てのデータを合計して、データの数で割ることで計算するんだよ。
トリム平均とは
– トリム平均とはデータ全体の特徴を掴みたい時に、よく平均値が使われます。しかし、極端に大きい値や小さい値がデータに含まれている場合、平均値はその影響を大きく受けてしまいます。例えば、{1, 2, 3, 4, 100}というデータの場合、平均値は22となり、データの大部分を占める1から4の値とは大きくかけ離れた値になってしまいます。このような場合に有効なのが、-トリム平均-です。トリム平均は、データを小さい順に並べ、両端から指定した割合分のデータを取り除いた後に平均値を計算します。例えば、先ほどの{1, 2, 3, 4, 100}というデータに対して、両端から1つずつデータを取り除いて(つまり20%トリム)平均値を計算すると、(2+3+4)/3=3となり、データの大部分を占める値に近い値を得ることができます。トリム平均は、異常値の影響を受けにくいという点で通常の平均値よりも頑健な指標と言えます。そのため、経済指標やスポーツ選手の成績など、外れ値の影響を受けやすいデータを扱う際に利用されることがあります。
用語 | 説明 | 利点 | 用途 |
---|---|---|---|
トリム平均 | データを小さい順に並べ、両端から指定した割合分のデータを取り除いた後に計算した平均値 | 異常値の影響を受けにくい、頑健な指標 | 経済指標、スポーツ選手の成績など、外れ値の影響を受けやすいデータ |
トリム平均の計算方法
– トリム平均の計算方法データの分析を行う際、平均値は基本的な指標ですが、極端に大きい値や小さい値(外れ値)の影響を受けやすいという欠点があります。このような場合に、外れ値の影響を抑え、よりデータの中心的な傾向を捉えるために用いられるのがトリム平均(調整平均とも呼ばれます)です。トリム平均を計算するには、以下の手順を踏みます。1. -データの並べ替え- まず、分析対象のデータセットを小さい順に並べ替えます。2. -トリミングの割合の決定- 次に、データセットの上位と下位からそれぞれ何パーセントのデータを取り除くかを決めます。これが「トリミングの割合」です。 一般的には、外れ値の影響を緩和するために5%や10%といった値が用いられますが、データの性質や分析の目的に応じて適切な値を設定する必要があります。3. -データのトリミング- 決定したトリミングの割合に基づいて、並べ替えたデータセットの上位と下位からそれぞれ同数のデータを取り除きます。例えば、データ数が100個でトリミングの割合を5%に設定した場合、上位5個と下位5個、合計10個のデータを取り除きます。4. -トリム平均の算出- 最後に、残ったデータの算術平均を計算します。これがトリム平均です。トリム平均を用いることで、外れ値の影響を軽減し、より頑健なデータ分析を行うことができます。特に、経済指標やスポーツ選手の成績など、外れ値の影響を受けやすいデータセットを扱う際に有効な手法と言えるでしょう。
手順 | 説明 |
---|---|
1. データの並べ替え | データセットを小さい順に並べ替える。 |
2. トリミングの割合の決定 | データセットの上位と下位からそれぞれ何パーセントのデータを取り除くかを決定する(例:5%、10%)。データの性質や分析の目的に応じて適切な値を設定する。 |
3. データのトリミング | 決定したトリミングの割合に基づいて、並べ替えたデータセットの上位と下位からそれぞれ同数のデータを取り除く。 |
4. トリム平均の算出 | 残ったデータの算術平均を計算する。これがトリム平均となる。 |
トリム平均の利点
データの代表値として、一般的に平均値が用いられます。しかし、データの中に極端に大きい値や小さい値が含まれている場合、平均値はその影響を大きく受けてしまい、データ全体を正しく表せないことがあります。例えば、10人の年収を調べた結果、9人が300万円から500万円の年収だったのに対し、1人だけが1億円の年収だったとします。この場合、平均年収は約1300万円と計算されますが、これは大部分の人にとって実態と大きくかけ離れた値になってしまいます。
このような問題を解決するために用いられるのが、トリム平均です。トリム平均は、データを小さい順に並べた後、上下から一定の割合のデータを取り除いた上で平均値を計算します。先ほどの年収の例で、上下から10%ずつ、つまり両端のデータを取り除いて平均値を計算すると、約400万円となります。これは、大部分の人の年収に近い、より実態に即した値と言えるでしょう。
このように、トリム平均は、外れ値の影響を受けずに、データの中心的な傾向を捉えることができるという利点があります。そのため、データに外れ値が含まれている可能性がある場合や、より頑健な代表値を求める場合に有効な手法と言えるでしょう。
代表値 | 説明 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
平均値 | データの合計値をデータ数で割った値 | 計算が容易で理解しやすい | 極端に大きい値や小さい値(外れ値)の影響を受けやすい |
トリム平均 | データを小さい順に並べて、上下から一定の割合のデータを取り除いた後、残りのデータの平均値を計算する | 外れ値の影響を受けにくく、データの中心的な傾向を捉えることができる | 計算が複雑になる場合がある、取り除くデータの割合によって結果が変わる可能性がある |
トリム平均の利用例
– トリム平均の利用例トリム平均は、データの中心傾向をより正確に把握するため、様々な場面で活用されています。例えば、フィギュアスケートや体操競技などの採点競技では、審判によって採点にばらつきが生じることがあります。このばらつきは、審判個人の主観や採点基準の微妙な違いなど、様々な要因によって生まれます。このような場合にトリム平均を用いることで、極端に高い採点や低い採点を除外し、大多数の審判が納得する公平な評価に近づけることができます。また、経済学の分野でもトリム平均は重要な役割を果たします。所得の分布を分析する際には、一部の富裕層が持つ極端に高い所得が平均値に大きな影響を与えてしまうことがあります。しかし、トリム平均を用いることで、このような外れ値の影響を排除し、より一般的な所得水準を把握することが可能になります。このように、トリム平均は、データのばらつきが大きく、極端な値の影響を受けやすい状況において、特に有効な分析手法と言えるでしょう。
場面 | トリム平均を使う理由 | メリット |
---|---|---|
フィギュアスケートや体操競技などの採点競技 | 審判による採点のばらつきを排除するため | 大多数の審判が納得する公平な評価に近づく |
経済学の分野での所得分布の分析 | 一部の富裕層が持つ極端に高い所得が平均値に与える影響を排除するため | より一般的な所得水準を把握することが可能になる |
トリム平均と算術平均
– トリム平均と算術平均外れ値への強さが違うデータの中心を表す値である代表値には、様々な種類があります。その中でも、算術平均とトリム平均は、共にデータの中心を表す代表値として広く用いられています。しかし、この二つの代表値は、外れ値に対する扱いが異なり、結果として異なる特徴を持つことになります。算術平均は、全てのデータを等しく考慮して計算されます。具体的には、全てのデータの値を合計し、データの数で割ることで算出されます。この方法は非常に分かりやすく、広く用いられています。しかし、データの中に極端に大きい値や小さい値、すなわち外れ値が含まれている場合、算術平均はその影響を大きく受けてしまいます。例えば、ほとんどの値が10付近に集中しているデータに、100という極端な値が一つ含まれていた場合、算術平均は大きく100の方向に引っ張られてしまい、データの中心を正しく表すことができなくなってしまうのです。一方、トリム平均は、算術平均の持つこの弱点を克服するために考案されました。トリム平均は、データを小さい順に並べ、両端から一定の割合のデータを取り除いた後、残りのデータの算術平均を計算します。この時、取り除くデータの割合は任意に設定することができます。例えば、両端から10%ずつデータを取り除く場合、20%トリム平均と呼びます。このように、トリム平均は外れ値となりうる極端な値を計算からあらかじめ取り除くため、外れ値の影響を受けにくい、頑健な代表値を得ることができるのです。しかし、どの代表値を用いるべきかは、分析の目的やデータの特性によって慎重に判断する必要があります。外れ値を含めてデータ全体を考慮する必要がある場合は算術平均を、外れ値の影響を抑え、よりデータの中心的な傾向を把握したい場合はトリム平均を用いるなど、状況に応じて使い分けることが重要です。
項目 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
算術平均 | 全てのデータを等しく考慮 | – 計算が分かりやすく、広く用いられている – データ全体を反映 |
– 外れ値の影響を受けやすい |
トリム平均 | 両端から一定割合のデータを取り除いて算術平均を計算 | – 外れ値の影響を受けにくい – データの中心的な傾向を把握しやすい |
– データの一部を無視するため、情報が失われる可能性がある |